B細胞性高グレード多中心型リンパ腫
この腫瘍は体表のリンパ節が腫れるリンパのがんで6~8歳前後の比較的若令で発症することが多い腫瘍です。無治療であるとだいた3ヶ月以内には亡くなってしまう事が多いと思いますが、抗がん剤治療によりだいたい50%は1年近くはよい状態で生活する事が出来ます。根治をする事は困難な病気ですが、非常に抗がん剤によく効いてくれる腫瘍なので治療の意義はとても高いと思います。
診断は針生検、リンパ節の切除生検、PCR(遺伝子検査)等で行います。
治療は基本的には抗がん剤になります。ロイナーゼ・オンコビン・エンドキサン・アドレアマイシンを既存のプロトコールにのっとって行いますが、その時の動物の状態により適宜変更して行ってゆきます。
リンパ節の細胞診では大型で核小体が明瞭な異型リンパ球が9割以上占めている。
進行したリンパ腫では眼球に浸潤したリンパ球により眼球にぶどう膜炎という炎症により白く濁る症状が起こる事がある。 |
抗がん剤治療を開始すると1週間後にはリンパ節の縮小とともに眼球も改善が認められる。 |
B細胞性高グレードリンパ腫で初診時、体表リンパ節の腫大と脾臓の腫大も認められる事が多いが、初回治療でほとんどに縮小が認められる。本例はその後抗がん剤治療によりリンパ節、脾臓も完全に縮小し寛解をえられ、治療開始から約1年8ヶ月間の生存期間が得られた。
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