消化管にできた高分化型リンパ腫

雑種猫・17歳・避妊済み雌
血便を伴う下痢と、一週間続く嘔吐を主訴に来院。
触診で腹腔内にしこりを見つけ、超音波検査にて小腸が腫瘤状になっていることが疑われた。腸管の細胞診を行ったが、診断に至らなかったため試験開腹手術を行った。

小腸が塊になって見える超音波所見

小腸が塊になって見える超音波所見

腸管どうしが癒着し塊になっている部分を切除

腸管どうしが癒着し塊になっている部分を切除

腫大した腸管のリンパ節

腫大した腸管のリンパ節

正常と思われる腸管どうしを吻合

正常と思われる腸管どうしを吻合

切除した腸管
切除した腸管

病理組織検査と遺伝子検査によりT細胞性高分化型リンパ腫と診断された。
術後、高分化型リンパ腫で治療効果が得られるといわれているメルファランという抗がん剤とプレドニゾロンというステロイド剤を用いた化学療法を行い、手術から10ヶ月経過した現在も良好な健康状態を維持している。
※腸管にできた高分化型リンパ腫の猫にメルファランと類似したクロラムブシルという抗がん剤とプレドニゾロンを用いた治療成績のデータでは生存期間の中央値は約1年半といわれているが約2年という報告も出てきているため今後更なる長期の予後を期待したいところである。